For job hunter 特別企画記事


インテリアデザイン・建築業界を目指す人へ 企業が求める人物像を聞く

近年、2020年へ向けて、建築・インテリアデザイン業界では人材募集の数が増えてきている。一時的な好景気かと言えばそういったわけでもないようで、ホテル業界でいうと、ある施主側の話では2020年以降もこのビジネスの盛り上がりは継続していくと見込まれているようだ。
デザインの現場では、若手はもちろん、即戦力が求められ、雇われる側も高いレベルでの成長ができる環境が至る所で用意されている。もちろん、多くの人々が現場で活躍する一方で、自分には合わないとして短期間で辞めてしまう人も一定数いるのは事実だ。そうならないためにも、目指す会社がどのような仕事をしている所なのか、自分自身は何をしたいのかを明確にして、就職・転職活動にのぞみたい。本企画では、商業空間のデザインにおいて、人材を求める2社に話を聞いた。



あきらめない熱意とコミュニケーション能力 NoosaDesign ヌーサデザイン<br />






同社が照明デザインを手掛けた「グランドプリンスホテル新高輪」のロビーラウンジ

テクノロジーの発達や、商業空間における省エネのニーズの高まりなどから、照明デザイナーの役割がより重要になってきている。特に、ラグジュアリーホテルやブティック、ライフスタイルショップなど、ブランドイメージを空間デザインでも表現する施設はその比重が大きい。2004年に設立された照明デザイン事務所、ヌーサデザインは商業施設を中心に、国内外で多彩な空間の光の計画を手掛ける。これまで海外のプロジェクトが多かったが、近年は国内の仕事も増えてきたという。「2020年への動きとして、ホテルやレストランのプロジェクトが多く動いています。代表の中前公晴を始め、照明器具メーカーでの経験を経たスタッフが所属し、意匠照明や特注照明のデザインなども手掛けます」と話すのは、同社デザイナーの金成冬子氏。同社が現在、募集しているのは、照明デザイナーとアシスタント。デザイナーは、顧客との打合せから照明プラン、配灯図・プレゼンテーション資料作成の他、現場における照明調整といった業務全般を任せられる即戦力を求めている。

一方、アシスタントは最初の時期は、配灯図面作成やデザイナーの業務のサポートの役割が多い。「照明デザインは、専門的な知識や技術だけでなく、施主や空間の設計者の意図を汲み取り、提案するコミュニケーション能力が問われます。メーカーや他の事務所で実績のある人であればすぐに活躍してほしいですが、アシスタントとして入った若手は粘り強く頑張れるかが求められます。一方で事務所に籠もりきりになるのではなく、通常の仕事を進めながら、自分の経験を高めるために積極的に外へ向かっていく意識も必要です」(金成氏)。照明デザインに限らず、インテリアデザインや建築業界は、新人のうちはすぐに結果が出ないため焦ってしまったり、諦めてしまう人も少なくないと聞く。モチベーションを継続させ、デザイナーとして成長していくために、本当に自分が情熱をかけられる仕事かどうかを、しっかりと考えて職種選びをしてほしい。



新しいことにチャレンジし自ら提案できる人へ Be+ ジェイアール西日本ビルト 営業開発支店 ビープラス





同社が設計を手掛けたホテルグランヴィア大阪の直営レストラン「ローザ・ローハ」(ルクア10階)


ジェイアール西日本ビルトは、JR西日本の駅を始め、駅構内や駅ビルの店舗などの設計、施工に携わっている企業だ。現在、今年6月に立ち上げた新部門、Be+(ビープラス)の人材を募集している。安全が求められる鉄道建築に携わりながら、近年、人気を集める駅ナカ、多くの人が行き交う駅施設において、商業空間づくりの実績を積んできた同社。一方、Be+はこれまでになかった分野での企画・デザインを模索しているという。

「駅ビルにはさまざまな店舗があり、常に多くのデザインの仕事があります。その中で技術とノウハウを蓄積してきましたが、設計部門としてより発展していくため、新部門を設立しました」と営業開発支店の高浦由紀氏は話す。求めるのは、企画営業(プロジェクトマネージャー) や、店舗設計のインテリアデザイナーや建築設計、施工管理ができる、すでにキャリアを積んでいる人材。実務経験3年以上という条件を設けているが、それと同時に重視しているのが、「新しいことにチャレンジできる人」だという。
「これまで手掛けていなかった分野への開拓を進める部門であるため、ただ仕事をこなすだけではなく、新しい提案をできたり、他のスタッフたちと一緒にチャレンジしていけることが大事です」(高浦氏)漫然と流れ作業のように取り組むのではなく、目的意識や積極性を持って仕事をしていくことは、デザイン業務に関わらず求められるスキルとも言える。新たなステージで自らを成長させたいと願う人にはぜひ注目してほしい。









「働き方改革」という言葉が至る所で聞かれるようになった昨今、デザイナーや建築家など、空間づくりに関わるクリエイティブの職種においても、働く人々の意識が変わってきているのではないか。あえて「働く人」と書くのは、かつて日本の商業空間デザインがビジネス的に大きく最初に発展した高度経済成長期からバブル期にかけて、デザイナーや建築家という職種が施主から「先生」と呼ばれるような社会的に特別視される存在であった時代とは環境が変わってきたことがある。デザイン、建築を専門の学部で学ぶ学生の数が年々少なくなってきているのは、少子化だけの影響ではない。しかし単純に「空間デザイナー」が憧れられなくなっているというわけでもないように感じる。社会の高度な情報化とさまざまなテクノロジーの発達により、クリエイターと呼ばれる職種自体の存在、捉えられ方が変容していることが、「何かを表現したい」と思う人々を、空間デザイン以外の分野に向かわせているのが現状なのだ。先日出会ったとあるクリエイターの話で、「誰もが驚くような、見たこともないアトラクションをつくりたい」と考えた彼は、舞台づくりの現場やテーマパークには就職せず、デジタルデバイスのアプリ開発に取り組んだ。そして現在、VR技術を使った映像と音による擬似的だが「リアルな空間体験」を提供する場をつくり、多くの人々を楽しませている。その他にも、センスのある施主が自ら空間を設計し、DIYでつくる小規模な店舗は当たり前のように増え、グラフィックやアパレルの分野では、昔はアマチュアと呼ばれていた「職業人」ではない立場の人々から、新たな創作が次々と生み出されている。また、企業に所属するデザイナーであっても、個人として他のクリエイターと一緒になって創作活動に取り組んでいるという話を多く聞くようになった。

デザインやクリエイションのレベルが向上しているという意味では、さまざまな才能が各分野で多岐に活躍することは歓迎すべきことだ。だからこそ、そのライバル的存在がひしめく中で、今一度、なぜこの仕事を選んだのか、デザインや建築の仕事に関わることで自分が何を目指すのかを見つめ直す必要がある。これから新たな仕事場を探す人々も、今、現場でコツコツと頑張っている(仕事を辞めたいと思っている)人も、会社に所属しながらクリエイターを志すことが、アドバンテージのある環境であることを自覚すれば、より加速的にレベルアップしていけるのではないだろうか。


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